大澤酒造のお酒とテイスティングコメントをご紹介します
信濃のかたりべ 純米酒
ほんのり甘く、柔らかい香味の純米酒。アルコールを感じさせない酒で飲みやすく、料理に合わせやすい。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、若々しく爽やか。フレッシュなリンゴ、メロン、白桃のような果実香、ふんわりと甘いスイカズラの花の香り、上新粉、白玉団子のような上品な米香が調和し優しい感じを与えている。
味わいは、ふくよかな甘味を伴うやや軽めの第一印象。中盤から爽やかな酸味が主張して甘味とバランスする。余韻は短く、コンパクトにまとまっていてキレが良い。
8〜12℃で小振りのチューリップ型のグラスがおすすめ。少し冷やして飲みやすさを強調する。または35〜40℃のお燗で小振りの磁器の猪口を用いる。全体にあまり温度は上げない方が良いと思う。
相性の良い料理は、だし巻き玉子、大根おろしを添える。酒は35〜40℃で合わせる。この酒の柔らかい香味が、だしと玉子の優しい味わいと同調する。またこの酒の果実香が大根おろしと合わさり、料理にアクセントを与える。
またはバンバンジー、ごまだれとキュウリを添える。酒は8〜12℃で合わせる。この酒のほんのりと甘い香味が、ごまだれで味付けされた鶏胸肉の柔らかい風味と同調する。この酒の果実香がキュウリと調和して、料理を爽やかに仕上げる。
明鏡止水 純米 垂氷
まだ若く、力強く固めだが、きれいにまとまっている純米酒。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、ふくよかで穏やか。果実の香りは控えめで、白玉団子、つきたての餅、炊いた米のような甘い米香が心地よい。香ばしい煎り糠の香りもわずかに感じられる。またセルフィーユのようなハーブ香、青竹のような木香、わずかにバナナのような刺激的な香りが調和している。
味わいは、ドライで固めの第一印象。酸味が効いているが、中盤から口中でほどけ、穏やかな旨味とコクが感じられる。全体にシャープなバランス。余韻は短めで、酒のキレの良さが感じられる。
40〜45℃のお燗で大振りの磁器の猪口がおすすめ。お燗して酒をほどけさせ、芳醇にすると良いと思う。冷やの場合は18〜20℃で大振りのチューリップ型グラスがおすすめ。グラスをよく回して、空気となじませると良いと思う。
相性の良い料理は、ウナギの白焼き、ワサビと醤油を添える。酒は40〜45℃のお燗で合わせる。この酒の力強い香味が、ウナギの旨味と同調して味わいを深くする。温められて芳醇になった酒がウナギの脂を包み込む。
またはオマール海老のロースト、アメリケーヌソース。この場合酒は18〜20℃で合わせる。この酒の力強い香味が、濃厚なアメリケーヌソースと同調する。酒のもつわずかなハーブ香が、皿に添えたローズマリーと合わさり、料理にアクセントを与える。
明鏡止水 純米吟醸
華やかな香味は控えめだが、酸味と旨味が利いていてキレのよい純米吟醸酒。いろいろな料理に合わせやすい。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、穏やかで華やか。熟したリンゴ、洋梨のような果実が穏やかに香り、道明寺粉、煎り糠のような香ばしい米香と調和している。また青竹、笹の葉のような清涼感のある木香、アーモンドミルクのようなきれいな乳製品の香りも感じられる。
味わいは、わずかな甘味を伴いドライな第一印象。中盤からしっかりとした酸味と旨味が主張し、甘味とバランスする。やや熟成感があり、全体に落ち着いたバランス。余韻は短めで、酒のキレの良さが感じられる。
12〜15℃で小振りのチューリップ型グラスがおすすめ。冷やすと飲みやすさを楽しめる。または40〜45℃のお燗で小振りの磁器の猪口を用いる、温めると酒のふくらみを楽しめる。
相性の良い料理はエビの天ぷら、温かい天つゆを添える。酒は40〜45℃で合わせる。温められて芳醇になった酒の酸味と旨味が、エビの旨味と同調する。また酒の香ばしい香味が、天つゆの醤油と同調し味わいを深くする。酒と天つゆの温度もよく同調する。
または舌平目のムニエル、パセリとレモンを添える。酒は12〜15℃で合わせる。この酒の香ばしくまた落ち着いた香味が、ムニエルの香ばしいバターソースとよく同調する。酒のわずかな果実香が、パセリとレモンと合わさり、料理を軽やかに仕上げる。
明鏡止水 純米大吟醸 m'ヴィンテージ
上品で落ち着いた果実の香味が表現された純米大吟醸酒。派手さが抑えられていて食中酒として大変好適。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、華やかだが落ち着いている。リンゴ、洋梨、メロン、白桃、アカシアの花、きれいな吟醸の香りが感じられる。フレッシュというよりも、コンポートを思わせる落ち着いた香り。さらに石灰や漆喰を思わせるミネラル香、杏仁豆腐を思わせるエキゾチックなスパイス香が調和している。
味わいは、上白糖のような上品な甘味を伴うやや強めの第一印象。口中での甘さ、華やかさは控えめで、むしろ程よい酸味と旨味が主張する。全体にまろやかで落ち着いたバランス。余韻はやや長く続く。
12〜15℃で大振りのチューリップ型グラスがおすすめ。やや大きなグラスで落ち着いた香りを楽しむと良いと思う。
相性の良い料理は、コハダの握り鮨。青ネギを添える。酒は12〜15℃で合わせる。この酒の落ち着いた香味が、酢で締めたコハダの上品な味わいと同調する。酒の果実香が青ネギと調和して、料理を爽やかに仕上げる。
またはガスパッチョ(トマトの冷製スープ)。やはり酒は12〜15℃で合わせる。この酒の程よい酸味と旨味が、完熟トマトの爽やかな酸味と旨味に同調し味わいを深くする。酒の果実香がオリーブオイルの青い果実風味と一体になり、料理を印象的に仕上げる。
明鏡止水 純米大吟醸 磨35
果実香、甘味、酸味、そしてアルコールのボリューム感がハイレベルでバランスしている。香味が凝縮した純米大吟醸酒。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、フレッシュで華やか。リンゴ、洋梨、メロン、白桃、アカシアの花、みずみずしく透明感のある吟醸の香りが感じられる。バナナのような刺激的な香りもありまだ新酒の香りも残している。さらに石灰を思わせるミネラル香、上新粉のような米香が調和している。
味わいは、はちみつを溶いたような印象的な甘味を伴う強めの第一印象。口中では甘やかで華やかな香味を感じさせ、アルコールのボリュームもある。中盤から米の柔らかい旨味と酸味を感じさせ、香味が凝縮していて余韻が長い。
12〜15℃で大振りのチューリップ型グラスがおすすめ。香りを開かせ楽しむために、あらかじめ片口かデキャンタに移し、空気に触れさせると良い。
相性の良い料理は、豆腐とほうれん草の白和え、すりごま風味で少し甘めにする。酒は12〜15℃で合わせる。豆腐の優しい風味は、この酒の複雑な香味を邪魔せず酒をじっくり楽しめる。また甘めの味付けは、酒の上品な甘味とよく同調する。
または大根とニンジンのなます、黄柚子を添える。やはり酒は12〜15℃で合わせる。この酒の上品な甘みが、甘酢と同調し味わいを深くする。また酒の華やかな果実香が、柚子と合わさり紅白なますを爽やかに仕上げる。
勢起 金紋錦 純米 2017
幅と厚みを感じさせる味わいを上品にまとめた酒。飲み頃に入りつつある。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、穏やかでふくよか。熟したリンゴ、洋梨、キンモクセイの花が穏やかに香る。また青竹、笹の葉のようなグリーンの香り、ヒノキ、香木の様な独特の木香も感じられる。わずかにバナナのような新酒の香りを残している。
味わいは、まろやかな甘味を伴うややボリュームのある第一印象。中盤からしっかりとした酸味と旨味が感じられ、厚みを感じさせるバランスにまとまっている。またわずかな苦味が味わいのアクセントとなっている。凝縮感があるがしっかりした酸味があるため、余韻はすっきりと切れる。
18〜20℃で大振りのチューリップ型グラスがおすすめ。コクを楽しむため、あまり冷やさない方が良いと思う。または40〜45℃のお燗で大振りの磁器の猪口を用いる。
相性の良い料理は、カツオの土佐造り、ニンニクとタマネギを添える。酒は40〜45℃のお燗で合わせる。温められて芳醇になり厚みを増した酒の香味が、カツオの強い風味を包み込む。また酒のもつグリーンの香りが薬味と合わさり、料理を爽やかに仕上げる。
またはラム肉のロースト、ニンニクとローズマリー風味。酒は18〜20℃で合わせる。この酒のしっかりとした酸味と旨味が、 ラム肉の強い風味と同調する。酒のアルコールがラム肉の脂を包み込む。酒の木香がローズマリーと調和して、料理を印象的に仕上げる。
勢起 金紋錦 純米大吟醸 2017
派手な香味はなく、落ち着いていて複雑、食中酒として大変素晴らしい純米大吟醸酒。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、穏やかで芳醇。熟したリンゴ、洋梨、メロン、キンモクセイの花の香り。吟醸香は落ち着いていて若干の熟成感が感じられる。さらにセルフィーユ、エストラゴンなど金紋錦独特のハーブの香り、石灰を思わせるミネラル香、上新粉、白玉団子のようなほのかな米香が調和している。
味わいは、まろやかな甘味を伴うややボリュームのある第一印象。上立ち香は低めだが、口中では華やかにふくらむ。中盤から主張してくるまろやかな酸味が、甘味を引き締める。またわずかな苦味が味わいのアクセントとなっている。余韻は長く複雑な香味を感じる。
15〜18℃で大振りのチューリップ型グラスがおすすめ。複雑な香味を楽しむため、あまり冷やさず、グラスをよく回して空気に触れさせると良いと思う。または35〜40℃の優しいお燗で背の低いタンブラーを用いる。
相性の良い料理はフグの薄造り、ワケギを添える。酒は35〜40℃でお燗する。温められて複雑性を増した酒の香味が、フグの上品な旨味と相乗し、味わいを深くする。吟醸香とワケギの青い香りが調和して、料理にアクセントを与える。
またはスズキのパイ包み焼き、エシャロットと卵黄のソースで仕上げる。酒は15〜18℃で合わせる。この酒のまろやかな甘味と酸味が、スズキと卵黄の上品な味わいと同調し、味わいを深くする。吟醸香とエシャロットの香りが調和して、料理を爽やかに仕上げる。
勢起 金紋錦 純米大吟醸 2018
華やかな香りは控えめだが、香味が凝縮している。酸味と旨味が利いていて食中酒として大変素晴らしい純米大吟醸酒。
外観は、透明感のある淡いクリスタル、わずかにイエローの色調がある。
香りの第一印象は、穏やかで華やか。フレッシュなメロン、白桃、アカシアの花など、甘やかだが派手さを抑えた吟醸香がバランスよく感じられる。さらにセルフィーユ、エストラゴンなど金紋錦独特のハーブの香り、清涼感のあるヒノキ、香木を思わせる木香、フレッシュミルクのような甘い乳製品の香りが調和している。
味わいは、まろやかな甘味を伴うややボリュームのある第一印象。口中では最初閉じた感じだが、徐々に華やかにふくらんでくる。中盤から強めの旨味と酸味が主張し始め、甘味と調和する。複雑で凝縮感のある味わいで余韻は長いが、キレも良い。
15〜18℃で大振りのチューリップ型グラスがおすすめ。まだ酒が若いので、香りを開かせるためにあらかじめ片口かデキャンタに移し、空気に触れさせると良いと思う。または35〜40℃の優しいお燗で背の低いタンブラーを用いる。
相性の良い料理は、タラのみぞれ鍋、ポン酢を添える。酒は35〜40℃で合わせる。この酒の程よい酸味と旨味が、タラの旨味、大根おろしの優しい甘さと同調する。酒の果実香が、ポン酢の柑橘と調和して、料理を爽やかに仕上げる。酒と鍋の温度もよく同調する。
またはヒラメのポシェ、バターソースで仕上げる。酒は15〜18℃で合わせる。程よく冷やして落ち着いた酒の香味が、ふんわり茹でられたヒラメの上品な甘味と同調する。酒のもつほのかな乳製品の香りが、上品なバターの風味と合わさり、味わいを深くする。