体験記

海なし県のサケとサカナ
地域食材を巡る佐久の食べ物語

あずま~さん(会社員)

あずま~ 30代女性(会社員・地域活性化事業)

元テレビ局報道記者として、事件事故のほか、地域グルメの深堀コーナー「食べ物語」等を担当。現在は、全国の地域活性化事業に携わっており、地域ならではの食文化や人を活かした観光地域づくりに取り組む。「酒で再発見する“地域アイデンティティ”」が人生のテーマ。日本ビアジャーナリスト講座12期卒。

海なし県のサケとサカナ
地域食材を巡る佐久の食べ物語

今回は、SAKU酒蔵アグリツーリズム推進協議会の視察ツアーへの同行という形で、1泊2日で佐久を訪問してきました。体験記では、酒についての投稿が続くと思われますので、私のほうでは脇役の「肴」について、いえ、佐久の「魚」についてお伝えします。海なし県・長野、そして海から一番遠い地点がある佐久市の、一風変わった地域資源、佐久のおさかな事情をどうぞ!
我々が視察ツアーで訪れたのは、佐久市臼田の和食処「お料理 れもん」。地域食材を愛する店主・濱口雄介さんが、寿司握り体験を実施します。 濱口さんは、六本木や銀座の和食店で修行を重ね、2008年に、地元・佐久市臼田に戻り店をオープン。 日本料理の全国大会で郷土料理部門最高賞の農林水産大臣賞を受賞するほどの、腕の持ち主です。その店主が教える、寿司握り体験。アメリカ人と台湾人のお二人、寿司握りは初めてですが・・・
店主・濱口さんのご指導のおかげか、こんなにきれいに握れました! その後、体験だけでなく盛り上がったのが、佐久ならではの地域資源のお話。
濱口さんが用意したこちらのお魚!(写真下) 海なし県、佐久市の救世主だそうですが・・・ 写真下の、ニジマスのような斑点があるお魚、「信州サーモン」です。
寿司握り体験の、鮭のような身は、実はこちらの「信州サーモン」(写真下の魚)。長野県水産試験場が10年もの年月をかけて開発に成功した、ニジマス×ブラウントラウトの交雑種です。サーモンを思わせる銀色の見かけと、紅色の身が名前の由来。卵を産まないため、産卵に要するエネルギーが奪われることなく、肉厚な身には、ほどよく脂がのり、旨味がギュッと凝縮されているそう。口に入れれば、トロリととろける脂の舌ざわりと、風味。それでいて後味はしつこくありません。濱口さんいわく、内臓など捨てる部分が少なく、身の部分が多いため、料理人としては非常に使いやすい「海なし県長野の味方」なのだそう。お店では、「信州サーモンの彩美食御前」などで提供されています。
最後に、濱口さんが恋してやまない、佐久を訪れたらぜひ食べて頂きたいサカナについて教えて下さいました。 江戸時代から佐久地域で親しまれてきた特産品“佐久鯉”です。 昔は、この地方の冠婚葬祭に欠かせず、人々に親しまれていた味でした。しかし、食生活の変化等で魚を食べることが少なり、泥臭いなどのイメージもあいまって、現在は需要が減少。 濱口さんは、料理人として地域食材の佐久鯉のイメージを変える逸品づくりに取り組んでいます。

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